No Nukes

美浜原発配管破断事故はなぜ起きたのか?

 2004年8月9日午後3時28分ごろ、福井県美浜町の関西電力美浜原子力発電所3号機(加圧水型軽水炉、出力82万6千キロワット)で、突然2次冷却系復水管が破断した。

 これにより配管の中を流れていた10気圧、142度の水は高温の蒸気となってタービン建屋に噴き出した。

 建屋で作業をしていた221人の内、11人がやけどを負って病院に運ばれ、5人が死亡、1人重体、5人が重軽傷という、運転中の原発の事故としては過去最悪の事故となった。

 この事故は、老朽化した原発を無理やり稼動させ、何がなんでも原発依存を続けようとする日本の原子力政策そのものが生み出した「人災」である。

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 破裂した復水管。数十センチの幅で炭素鋼がめくれている(原子力安全・保安院提供)

 破断したのは、復水器から蒸気発生器に行く炭素鋼製の復水管で、本来は肉厚約1センチあるはずのものが、最小で約1・4ミリまで磨耗していた。

 破断場所の約50センチ上流に「オリフィス」と呼ばれる流水計があり、管の幅が狭くなっている。これが水の流れを乱し、渦が起きて「減肉磨耗」したのが事故原因と考えられいる。

 最大の問題は、水流が乱れる場所で「減肉磨耗」が起こり得ることが工学的に予想されていたにも関わらず、破断部分は3号機が運転を始めた1976年以降、一度も点検されていなかったことだ。関電の驚くべき手抜き検査体制が明らかとなった。

 実はこれとまったく同じ事故は、1986年、米サリー原発2号機で起きていた。この時も4人が死亡している。

 にも関わらず、関電の内規では2次系配管の肉厚検査は40年間で一巡するペースで行うとされていた。
 検査を請け負っていた会社が点検漏れを放置してきたなどの問題も指摘されたが、これは単なる「ミス」ではなく、原発が抱える構造的な問題だ。

 原発の発電コストは、他の発電と比較しても大変割高。原発11基を持つ関電は、発電量全体に占める原子力の割合が約56%(03年度実績)と全電力会社の中で最高だ。

 関電の原発の稼働率が1%下がると、火力発電の代替などで年間37億円コストが上昇する。

 検査や修理などで原発が1基停止すると、1日当たり約1億円のコスト増ともいわれており、電力会社は少々のトラブルには目をつむり、点検期間を短くして出来る限り原発をフル稼働させようとする。

 結局、コスト面から言っても採算性が取れない原発を動かし続けようとする限り、今回の事故のような悲劇は構造化されてしまう。

 事故が起きた美浜3号機は1976年に運転を始めたが、日本国内で運転中の50基以上の原発のうち20基は70年代に運転を始めた老朽化原発だ。

 当初原発の寿命は30年と考えられていたが、新規原発立地が困難で採算性が厳しくなってきた最近では、電力会社は「60年でも大丈夫」と主張し、さらに定期点検の間隔を長くして稼働率を上げようとしている。

 安全性を軽視し、採算性を無理やり上げようというこうした傾向こそが、この事故の背景にある。

 美浜原発に限らず、大飯1号機でも2次系主給水配管が大幅減肉し、日本で初めて原子炉容器上蓋管台にひび割れが発生して一次冷却水(放射能を含む)が漏れるなど、大事故につながりかねない事故が連続している。

 にも関わらず関電は今後、使用済み核燃料から抽出したプルトニウムを通常の原発で燃やす「プルサーマル」を実施しようとしている。

 原発の「安全神話」はすでに過去のものになった。繰り返される事故を止めるには、原発に依存しないエネルギー供給を確立するしかない。

 

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プロフィール

渡瀬義孝 2008年洞爺湖サミットの開催に合わせ自転車で東京~洞爺湖~札幌1500キロを走破したツーリング洞爺湖に参加。持続可能な未来へ向けエコロジーでリベラルなライフスタイルを! yoshitaka@ihope.jp

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