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吉野ヶ里遺跡探訪(2)南北内郭は政治と祭りの中心
通常は歴史公園センターのある東側ゲートから足を踏み入れるところだが、西側のゲート、「倉と市」のゾーンから入場。
外壕から一歩中に足を踏み入れると、10棟近い高床倉庫が立ち並んでいる。
当時これら高床倉庫には様々な交易物が収められ、市では海外や他のクニと活発な交易が行われていたようだ。
高床倉庫の柱には、ねずみ返しも。
市の中心には2階建の市楼が建ち、そばには市を管理する「市長[いちおさ]」と呼ばれる人の竪穴式住居も復元されている。
この区域の中には、さらに大きな内壕と城柵によって囲まれた大倉が建ち並ぶ場所があり、この大倉には軍事上、戦略上重要な物資を収められていたのではないかと考えられている。
現在の吉野ヶ里は、有明海の海岸線から20キロも離れているが、弥生時代には2キロのところまで海岸線が迫っていたことが分かっている。
当時は、吉野ヶ里の西側、この倉と市のゾーンのそばを大きな川が流れており、有明海とこの川を伝って人々は行き交い、交易を行ったのだろう。
「倉と市」のゾーンから内壕・城柵を越えて東側に進むと、小高い場所に広場が。
ここは南内郭と呼ばれている場所で、吉野ヶ里が最盛期を迎えた頃、吉野ヶ里の集落をはじめ、周りのムラムラを治めていた王や支配層が住んでいた場所だ。
南内郭には、竪穴式住居と共に復元高12メートルにもなる4棟の高床建物がある。
南内閣の北端には、王が住んでいたと考えれる城柵で囲まれた竪穴住居があり、その脇には王の使用人たちが給仕のために煮炊きをした小屋も復元されていた。
この地区からは、当時としては極めて貴重な、一部の有力者しか持つことができなかったと言われている鉄製品も数多く見つかっており、当時の支配層が住む高級住宅地だったことが伺われる。
南内郭を一端出て、展示室を見学した後に北へ向うと、いよいよ目の前に吉野ヶ里の祭祀の中心、北内郭が見えてくる。
この北内郭は、吉野ヶ里集落だけでなく、吉野ヶ里を中心とするクニ全体にとって、最も重要な場所であったと考えられている。
北内郭は二重の内環壕で囲まれ、入口は真っ直ぐ入ってこられないように鍵形に折れ曲がった構造をしている。
中には物見櫓はもちろん、高床住居や斎堂、東祭殿があり、吉野ヶ里最大の建物である主祭殿がひときわ威容を誇っている。
この主祭殿は、16本の柱によって支えられた約12.5メートル四方の3階建の建物。
主祭殿の2階では、人形を使って吉野ヶ里のクニ全体の重要な祀りが再現されていた。
吉野ヶ里の王を中心に、一方の側には吉野ヶ里の支配層、片方の側には周辺のムラムラの長が座り、田植えや稲刈り、祭りや市の日取りなどの重要な事項を取り決めている様子が再現されている。
その上の3階では、最高司祭者が祖先の霊のお告げを聞く祈りを行っている。
2階の合議ではまとまらない話も、この最高司祭者のお告げに従って決定したのだろう。
午前9時から見学しはじめて、既に時間は11時半を回った。
南国九州の強い日差しが眩しいが、湿度はそれほどなく、風は心地良い。
昼食をとるために北内郭から再び南内郭へと南下し、それから東口のレストランへと向かった。
吉野ヶ里遺跡の建物のシルエットの前方に広がる佐賀平野を見渡しながら、はるか1700年近く前の弥生人もまた、こんな心地良い風を感じていたのかなと思いをめぐらしたのだった。
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