Review
『母なる大地を守りたい ~立ち上がるアメリカ先住民~』 ウラン鉱山開発に反対するネイティブの闘いは日本の原発立地地域とまったく同じ困難を抱えている
前編では先住民居留区での天然ガス開発に反対するシャイアンの人々や、アラスカ北極圏の自然保護区内カリブー繁殖地の油田開発に反対する先住民を紹介。
そして後編では、ナバホ居留区でのウラン鉱山開発を取り上げる。
第二次大戦直後、多くの先住民は放射能の危険性すら教えられずに鉱山で働き被曝、重大な健康障害に陥る。
スリーマイル島事故で一端撤退した開発会社は、1990年代に再開発に着手。
ウラン鉱床を溶剤で溶かしてウランを抽出する方法を採ろうとする。
これでは先住民の水源である地下帯水層は汚染される。
当然にも反対運動が巻き起こった。
ところがウラン鉱山の土地を所有する人たちは、開発反対派に噛み付く。
「これで利益を上げて何が悪い。孫たちを飢えさせるつもりか」と。
彼らは莫大なお金を得、「作業は安全だ」との説明を受けたと強弁。
まさに日本の原発立地地域で起きる住民内部の争いそのものだ。
反対派は、こう嘆く。
「鉱山の再開を巡って地域社会だけでなく、家族さえバラバラにされました」
「私たちは土地の所有者と闘っているわけではありません。相手は企業です」
「トウモロコシの花粉とウランは見た目がそっくりです。トウモロコシは自然の恵みですが、ウランは誤って手をつけると破滅に至ります」
現地で先住民の医療支援に当たる医師の言葉は感慨深い。
「ここはアメリカで最も収入が少ない地域の一つです。住民の多くは英語を話しません。
電話のない家も多く、政治家と連絡をとることもできません。
そうした地域の住民がウラン産業、原子力産業を阻止しています。
草の根の民主主義が勝利をおさめているのです」
中国電力が強引に建設を進めようとする山口県上関原発。
現地ではまさに同じ矛盾が住民を苦しめ、そのなかで原発建設に反対する人々は粘り強く闘っている。
少なくとも本ドキュメンタリーで描かれている現実を直視すれば、「原発はクリーンで環境に優しい」などというキャンペーンがどれだけ大嘘なのかははっきるするだろう。
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