Ecology

ナトリウム漏れ事故で停止した「もんじゅ」再稼働は「止まらない公共事業」の典型

2010年2月12日 14:50 | コメント(0) | トラックバック(0)

 高速増殖炉「もんじゅ」の設置許可取り消しを求めた行政訴訟において、2005年5月30日、最高裁第一小法廷は全員一致で住民の訴えを退ける判決を下した。

 最高裁は、国の安全審査についてこう述べた。

 「見過ごすことのできないミスや欠落はなく、許可は違法でない」
 「安全審査の対象になる大枠の基本設計は不合理とはいえない。事故はその後の詳細な設計で防げる」

 これに先立つ2003年。名古屋高裁金沢支部は、原発訴訟で初の住民勝訴となった画期的判決を下していた。
 「もんじゅ」の建設許可を無効としたのだ。

 しかし最高裁は、この判決を破棄した。
 政府の原子力行政に追随したこの最高裁判決により、1985年の提訴以来、20年間にわたって国の設置許可の無効を求めてきた住民側の敗訴が確定した。

 その結果、1995年のナトリウム漏れ事故以来運転を停止していた「もんじゅ」が、再び運転を開始しようとしている。

 「もんじゅ」は、国策として推進している核燃料サイクル政策の要となる高速増殖炉を研究開発するための原型炉。
 プルトニウム燃料を燃やすたびにプルトニウムが増える「夢の原子炉」と呼ばれている。
 政府は資源小国日本のエネルギー政策にとって不可欠だと主張してきた。

 しかし冷却材に、酸素や水と激しい化学反応を起こすナトリウムを使用しているため、一度ナトリウム漏れ事故が起きれば原子炉などが重大な損傷を受ける危険性が高い。

 実際に1995年の事故では、配管から漏れたナトリウムは床のライナー(万一ナトリウムが漏れても建物のコンクリートと接触しないように床に敷かれた鉄板)と激しい化学反応を起こし、ライナーは腐食。

 もしライナーに穴が開き、ナトリウムがコンクリートにまで達していたら、コンクリート中の水と激しく反応し、水素爆発を引き起こしていた可能性がある。
 そなれば取り返しのつかない大惨事となっていた。

 さらに事故当時、動燃(現在の独立行政法人日本原子力研究開発機構)は、事故現場の模様を撮影したビデオを勝手に編集して公開するなどの虚偽報告を繰り返して、厳しい批判を浴びた。

 最後まで隠されていた事故2時間後に撮影されたビデオはこちら。 

 

 この衝撃的事故にも関わらず政府は原子力の「安全神話」を言い続けたが、ついに1999年9月30日、JCO臨界事故が起き、作業員2名が中性子線被曝で死亡、多数の周辺住民も被曝するという日本の原子力史上最悪の事故が起きた。
 「日本の原発では重大事故は絶対に起きない」という「安全神話」は完全に崩壊したのだ。

 ところが今また、最も危険な原子炉「もんじゅ」が再稼働しようとしている。

 高速増殖炉の開発は当初、フランスやアメリカなど世界各国が取り組んだ。
 高速増殖炉の「高速」とは、プルトニウムを増殖するために核分裂反応に「高速中性子」を利用するからだ。

 冷却材も水ではなく、中性子の吸収が少ないナトリウムなどの特殊な冷却材を使用。
 ゆえに通常の原発以上に多くの技術的問題をクリアーする必要があり、安全性を確保することが難しい。

 結局今やほとんどの国が開発計画から撤退している。
 増殖炉の開発は技術的に極めて困難なのである。
 日本だけがこうした技術的問題をクリアーできる保障はない。

 燃料にプルトニウムを利用するために、万一放射能漏れが起きた場合の危険性は通常の軽水炉よりもはるかに大きい「もんじゅ」。
 これを再稼働させることに何の展望もメリットもない。

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