Review
ジョン・デューイ『学校と社会』(4)社会を変える公共的実践知をいかに育むのか
デューイの掲げたプラグマティズとそれに基づく教育論。
それはアメリカで広く普及したが、しかしベトナム戦争などを経てアメリカ社会は大きな病理に陥る。
教育によって社会は変わり得るとのデューイの理想は限界に突き当たったのか?
この問題について『学校と社会』解説では以下のように記している。
「学校教育の力の限界。学校は、社会にすでに存在している欲求や目的に奉仕する技術的手段を青少年にあたえているのであって、社会的活動がそれによって選択され決定されるところの根源である欲求自体、目的自体を形成することには、成功していない」
「よりよい教育が、教育機関によってではなく、社会そのものによっておこなわれている。だから社会そのものが教育的にならないかぎり、学校がいかに教育的活動につとめようともだめである」
では教育的な社会とはどんな社会なのか?
「公共的な目的のためにプラニングと実験が不断におこなわれるような社会、不断に計画されてゆく社会、社会それ自体がひとつの教育機関となる、金銭的な利得のための競争的な努力の場であることをやめて、協同的に、したがって教育的になりうるような社会」
ではこのような社会を創造するために、教育は何をすべきか?
「教育は、社会の変化を生みだすことにおいて、一つの役割を、重要な一つの役割をもつものとして再調整されなければならない」
「教師は社会の改造に参加する教育のプログラムをもたなければならぬ。しかし、そのことはなにか特定の社会改造案を子供たちにふきこむことではない。それは現代の社会生活の現実を代表するような教材を教育のプログラムのなかに導入し、そしてその教材自体のみちびく方向に向かって子供たちの学習を発展させてゆくことである。それは、おそれることなく子どもたちに社会生活の現実を踏査せしめ、いかに物事がおこなわれているか、そして、それらの物事はいかにおこなわれるべきであるか、その新しい可能性を実現するためにわれわれはなにをなすべきか、このことを各自の成長と成熟の水準において討究せしめること」
こうした新しい教育の実験、社会生活を代表するプログラムを教育の中に取り入れる実践は、アメリカで行われている。
例えば「学問」と「大学の管理運営」の統合を目指す試み。
キャンパスはまさに小社会であり、食堂もあり、ゴミも排出される。
ここで生じる問題は、社会をどう循環させるか、環境問題に直結するものだ。
この課題に学生自身が取り組み、大学全体の80%に影響を与えるリサイクル・プログラムを発展させた。
まさに狭い諸科学に限定されない、社会的実践と結びついた幅広い教養を身につけることが問われている。
以前朝日新聞は「学校はエリートを育てるべきか」と題してこんな記事を掲載した。
「ある調査によると、アメリカで組織の改革に成功した企業には、周囲への配慮に富み、市場や競争相手、自分の組織の人材を正しく理解する人々がいた。そういう人はMBA(経営学修士)など持っていない。MBAを持つ人が考えることは大体決まっている。だから大胆な変革などできない」
今の日本社会のエリートと呼ばれる人たちのほとんどが、改革に失敗する理由はそこにある。
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