Ecology
「生物多様性の宝庫、長島の自然を考える集い」中国電力の環境アセスはあまりに杜撰と生物学者が指摘
2009年12月2日午後1時より、衆議院第一議員会館にて「生物多様性の宝庫、長島の自然を考える集い」が開催され、司会を務めた川田龍平議員他民主党4名、社民党1名の国会議員、さらに市民50名以上が参加した。
冒頭、「瀬戸内の原風景 長島」と題したビデオのダイジェスト版を15分ほど上映。
中国電力が上関原発建設のために埋立工事を始めた山口県上関町田ノ浦には、実に多様な生物が生息している。
その実態が美しい映像で紹介された。
続いて滋賀県立大学環境学部講師で日本生態学会・上関アフターケア委員の野間直彦さんが「上関原子力発電所予定地の自然および日本生態学会の要望書」と題してレクチャー。
長島周辺には瀬戸内海を代表する磯の生物が豊かに残っているが、中国電力による環境アセスメントは極めて杜撰で、貴重性を過小評価していると指摘。
日本生態学会はこれまで7回に渡って環境アセスの見直しを求める要望を出しているが、すべて無視されてきたと訴えた。
京都大学フィールド科学教育研究センター特任教授で日本ベントス学会の向井宏さんは、主に原発冷却水取水問題を指摘。
毎秒190トン、広島の太田川流量の1・5倍に上る海水が冷却水として取水され、それにより豊かな生態系の源となる動物プランクトンや魚類卵稚仔等が壊滅的被害をうける。
しかし中電はこれについても「多少の影響はみられるが、全体としてみれば少ない」と過小評価していると批判した。
瀬戸内の入口に位置する上関に原発ができれば、膨大な温排水は内海に流れ込み、瀬戸内海全体の水温上昇も引き起こす。
広島のカキ養殖などにも壊滅的な被害が及び可能性もあるのだ。
九州大学大学院でカンムリウミスズメの生態を研究する日本生態学会・上関アフターケア委員の飯田知彦さんも、中電の環境アセスは絶滅が危惧され国の天然記念物に指定されているカンムリウミスズメについて触れていないと指摘。
「長島には失われたと思われていた50年前の瀬戸内海の生態系がほぼそのまま残っている」「そこを破壊することは、瀬戸内海が本当に死んでしまうことを意味する」と原発建設に強い危機感を表明した。
「来年2010年は国連が定めた国際生物多様性年です。10月には名古屋で生物多様性締約国会議COP10が開催されます。日本はそのホスト国を務めながら、一方で瀬戸内海で最も豊かな海を原発で壊していいのかと、世界から問われることになります。なんとしても長島の自然環境をみなさんと一緒に守っていきたいと思います」
会場にはカンムリウミスズメのTシャツを着た参加者も。
COP10へ向けて大きなキャンペーンをつくり出すことが問われている。
関連記事
- 各地の原発で本格化するプルサーマル 危険なMOX燃料の海上輸送に沿岸諸国は強く抗議している
- 九州電力玄海原発3号機、四国電力伊方原発3号機でプルサーマルが始まっている。 ...
- 「人類の危機」レポート『成長の限界』から40年 デニス・メドウズ氏は再度「これからの20年で人類が経験することは過去200年の変化よりも大きい」と指摘
- 地球環境問題を包括的に指摘したバイブルとも言える書『成長の限界』。 1971年...
- 原発に偏重した日本のエネルギー政策はガラパゴス化の最たるもの 原子力政策大綱の見直しは急務
- 日本の原子力政策の方向を決める既存の「原子力政策大綱」は、2005年10月に策...
- 日本広告審査機構(JARO)は「原発はクリーン」との電事連広告を不適切と裁定 ところが(財)日本原子力文化振興財団は真逆の「原子力ポスターコンクール」を開催
- 「原子力発電はクリーンな電気のつくり方」 誰が考えついたかしらないが、あまりに...
- 映画『祝の島(ほうりのしま)』分をわきまえた人間の営みこそ持続可能な未来につながる 原発よりもはるかに偉大な祝島の棚田
- 30年近く中国電力の上関原発計画に反対を続けている島がある。 瀬戸内の入口、山...
- 限界集落で有畜循環有機農業を実践する「土遊野」農場 日本農業再生の方向を見事に示唆している
- 2008年5月、富山県富山市(旧大沢野町)の土(ど)集落で有畜循環有機農業を営...
- アインシュタインが危惧した異常事態 世界各地でハチがいなくなる蜂群崩壊症候群(CCD)が起きている
- ここ数年、世界各地である日突然ハチの群れがいなくなる異常事態が報告されている。...
- 「できるぞ! エネルギーシフト!」ワールドカフェと飯田哲也さんの講演は大盛況 自然エネルギーへの転換は小規模分散型革命で!
- 7月22日午後7時より都内下北沢らぷらすで、「ワールドカフェとトー...
- 『母なる大地を守りたい ~立ち上がるアメリカ先住民~』 ウラン鉱山開発に反対するネイティブの闘いは日本の原発立地地域とまったく同じ困難を抱えている
- 前編では先住民居留区での天然ガス開発に反対するシャイアンの人々や、アラスカ北極...
- 映画『アバター(Avatar)』 キャメロン監督はヒューマニズムから環境へと大きくテーマを転換した
- 映画『アバター』は近年にない名作である。 ジェームス・キャメロン監督の代表的な...
トラックバック(0)
トラックバックURL: http://www.ihope.jp/mt/mt-tb.cgi/518

コメントする