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検証・在日米軍再編と日米地位協定(5)原子力空母が放射能事故を起こしても賠償するのは日本政府か?

2009年12月 7日 13:30 | コメント(0) | トラックバック(0)

 米海軍第七艦隊が司令部を置く横須賀。
 昨年初めて原子力空母ジョージ・ワシントンが配備された。

 ジョージ・ワシントンが搭載する原子炉は120万キロワット。
 横須賀に大型の原子炉が出現したのと同じ意味をもつ。

georgewashigton.jpg 横須賀から100キロ圏内の首都圏には、3000万人が住んでおり、万一原子炉で重大事故が起きれば取り返しのつかない被害が生まれる。
 その際、米軍はどのような責任を取るのか?

 外務省機密文書『日米地位協定の考え方・増補版』を読めば、外務省はひそかに米軍が引き起こす原子力事故について想定し、日本の原子力損害賠償法を適用して処理すると決めていたことが分かる。
 その法的根拠は、日米地位協定の中に強引に読み込もうとしているのだ。

 地位協定第一八条「請求権・民事裁判権」ではこう記している。

 「公務執行中の合衆国軍隊の構成員若しくは被用者の作為若しくは不作為又は合衆国軍隊が法律上責任を有するその他の作為、不作為若しくは事故で、日本国において日本国政府以外の第三者に損害を与えたものから生ずる請求権は、日本国が次の規定に従って処理する」

 「請求は、日本国の自衛隊の行動から生ずる請求権に関する日本国の法令に従って、提起し、審査し、かつ、解決し、又は裁判する」

 つまり日本国内で米軍が引き起こす事故などに関しては、自衛隊が事故を起こした際に適用される法律に基づいて損害請求が行われることになる。
 しかし自衛隊は原子力艦船を保有していないから、原子力事故に関する規定は存在しない。

 そこで外務省が考えたウルトラCが「増補版」には記されている。
 なんと一般の原発事故の際に適用される原子力損害賠償法を米軍にも適用するのだ。

 「原子力損害の賠償に関する法律もここでいう『日本国の法令』に該当する」

 実は既に1964年米原潜の寄港に際し、米側とは万一の事故の際に原賠法を適用する旨を確認していた。

 「日本国の船舶に適用される限度において、通常の原子力潜水艦に係る原子力事故で、放射能汚染による疾病を含め負傷又は死亡をもたらしたものについての請求の処理」

 原賠法では、原子力事故の被害者に600億円を限度として損害賠償し、これを超える損害が発生したときは、必要に応じ国会の議決に基づき政府の権限の範囲内で援助を行うとされている。
 法律制定に当たって政府が秘密裏に行った原発事故の被害想定が余りにも巨大で、これを一企業が引き受けることにしては原子力産業が育成できないと判断し、賠償限度額をわずか600億円に設定した悪法だ。

 それでも日本国内の原子力事業者は、原賠法の適用を受けるためには発電所ごとに保険業者と「原子力損害賠償責任保険契約」を締結している。
 またこの保険ではカバーできない種類の原子力損害を賠償するため、国と発電所ごとに「原子力損害賠償補償契約」を締結しなければならない。

 米軍がこのような契約を結んでいないことは明らかだろう。
 にも関わらず原賠法は米軍の原子力事故にも適用されるとしたら、最初から米軍を免責しているようなものだ。

 さらに地位協定には以下のように銘記されている。

 「合衆国のみが責任を有する場合には、裁定され、合意され、又は裁判により決定された額は、その二十五パーセントを日本国が、その七十五パーセントを合衆国が分担する」

 100%米軍の過失により引き起こされた原子力事故であっても、その被害額のうちの四分の一は日本国民の税金で補償される。

 横須賀で原子力空母が放射能事故を起こしても、政府や外務省にとって何よりも大切なのは米軍の便益なのだろうか?

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