Politics

検証・在日米軍再編と日米地位協定(3)横田基地爆音訴訟で示された米軍の治外法権

2009年11月 5日 13:59 | コメント(0) | トラックバック(0)

 神奈川県の米軍横田基地には「在日米軍司令部」と「第5空軍司令部」が存在する。

 基地では昼夜を問わず米軍機が発着し、周辺住民に深刻な騒音被害をもたらしてきた。

yokota.jpg ベトナム戦争中には、低空で飛行する米軍機による衝撃波のため、風呂場のガラス窓が割れて浴室に落下し、入浴中の住民が大ケガを負うという事故も起きている。

 基地被害に苦しむ周辺住民が、国に対して夜9時から朝7時の飛行差し止めと損害賠償を請求する訴訟を行い、1993年に以下の判決が最高裁で確定した。

 「米空軍『横田基地』の軍用機の飛行騒音は、周辺住民の生活を違法に侵害している。国は原告に損害賠償を支払え」

 しかし飛行差し止めについてはこう述べるに留まった。

 「飛行騒音を発生させているのは米軍であり、横田基地の施設管理権のない日本政府は騒音の発生を防止する立場にない」

 そこで米政府を被告として新しい訴訟が開始されたが、最高裁は却下。

 「米軍機の飛行は、アメリカ合衆国政府の主権的行為であり、民事訴訟上、日本の裁判権は及ばない」

 つまり在日米軍のもたらす被害について、基地周辺住民は、日本政府にも米国政府にも、被害の除去を法的に訴える権利を持ち得ないということなのだ。

 その根拠とされているのが日米地位協定である。

 第3条「施設・区域に関する合衆国の権利」にはこう記されている。

 「合衆国は、施設及び区域内において、それらの設定、運営、警護及び管理のため必要なすべての措置を執ることができる」

 米軍が必要だと判断すれば、24時間演習を行おうが、周辺住民にいくら迷惑がかかろうがお構いなしだ。

 これについて外務省は機密文書『日米地位協定の考え方・増補版』でこう合理化する。

 「法令の執行のために施設・区域内において米軍の活動が結果的に諸種の規制を受けることとなったのでは、軍隊としての機能を維持できず、任務を有効に遂行しえないこととなる」

 「したがって(略)米軍に対しては、施設・区域の管理権を認め、法令の現実の執行は、かかる米軍の管理権を侵害しないかたちで行う」

 外務省は、自国民の権利よりも、米軍が「軍隊として機能」することを優先すると公然と語っている。

  • Yahoo!ブックマークに登録
  • Google Bookmarksに登録
  • はてなブックマークに登録
  • del.icio.usに登録
  • livedoorクリップに登録
  • Buzzurl(バザール)に登録

関連記事

鳩山元首相の「裸踊り」を支えた(?)ビデオ「社会運動はどうやって起こすか」
 鳩山前首相は首相在任中から活用していたTwitterに辞任後の6月15日、以下...
韓国哨戒艇沈没事故の民間調査員がクリントン国務長官に衝撃の告白「爆発はなかった 魚雷もなかった」
 6月初めに行われた韓国統一地方選挙で与党ハンナラ党は惨敗した。  哨戒艇沈没事...
『拒否できない日本』―アメリカの日本改造が進んでいる―(関岡英之) 年次改革要望書同様に普天間問題でまたもや明らかとなった日米関係の歪み
 鳩山政権になり見直しが進む郵政民営化。  これを強引に実現しようとした小泉政権...
社会保険制度から公的扶助へ 経済成長を前提としたベバリッジ報告はとっくに歴史的意義を喪失している
 日本の社会保障制度は、「社会保険」(医療保険、年金保険、労災保険、雇用保険、介...
『「知事抹殺」つくられた福島県汚職事件』(元福島県知事 佐藤栄佐久) 検察は政治資金規正法を濫用しマスコミはこれを煽る 日本の民主主義は根底的危機にある
 驚くべき内容の書である。  住民の安全や健康を守るために、国策の不合理に真っ...
イラクで米軍誤射の犠牲となったジャーナリスト アパッチ・ヘリから米兵はゲームのように機銃掃射
 この映像は映画でもフィクションでもない、実際にイラクで戦闘行動を行うアパッチヘ...
無差別爆撃で10万人以上が犠牲となった東京大空襲 作戦を指揮したカーチス・ルメー将軍は戦後日本政府から勲章を授与された
 戦時中アメリカは、日本本土への無差別爆撃を繰り返した。 首都東京も130回の空...
140字のつぶやきは世界を変えるきっかけになるか?『Twitter社会論』
 政権交代と共に日本社会のあらゆる所で地殻変動が起きているのと軌を一にするかのよ...
検察が「捜査妨害」と編集長に出頭を要請し言論弾圧しようとした「週刊朝日」記事 戦前の特高警察はいまだに生きている
 新聞やテレビなどのマスコミが検察リーク情報を垂れ流すなか、勇気をもって検察批判...
国民が選択した政権交代を検察が潰すのか? リーク報道に終始するマスコミは自滅する
 以下は2月1日発行の『Actio』に掲載した私の文書。  http://act...

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://www.ihope.jp/mt/mt-tb.cgi/498

コメントする

月別アーカイブ

プロフィール

渡瀬義孝 2008年洞爺湖サミットの開催に合わせ自転車で東京~洞爺湖~札幌1500キロを走破したツーリング洞爺湖に参加。持続可能な未来へ向けエコロジーでリベラルなライフスタイルを! yoshitaka@ihope.jp

このサイトを購読する

RSS登録

  • Add to Googleに登録
  • はてなRSSに登録
  • lvedoorリーダーに登録
Loading


最近のフォト

  • Actio 2011年12月号 特集「原発再稼働は許されない」
  • 2011年11月号 特集「広がる放射能汚染にどう向き合うか」
  • Actio10月号 特集「福島で何が起きているのか」
  • Actio 2011年9月号 特集「終わらない原発震災」
  • 2011年8月号 特集「原発事故は最悪の公害」
  • Actio 2011年7月号 特集「子どもたちを放射能から守る」
  • Actio 2011年6月号 特集「原発のない社会は可能」
  • Actio 2011年5月号特集「原発はもういらない」
  • Actio 2011年4月号 特集「食の未来を創る」
  • Actio2011年3月号 特集「エネルギーは地産地消へ」

ウェブページナビ