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大谷ゆみこ著『雑穀つぶつぶ食で体を変える-おいしいから健康-』食糧危機の時代に備え持続可能な食生活を

2009年10月28日 11:17 | コメント(0) | トラックバック(0)

 我が家では玄米をよく食べる。

 農薬や除草剤は糠の部分に最も残留するから、玄米を食べるとしたらやはり無農薬・有機栽培のものがお薦めだ。
 さらに美味しく食べるには、やはり電気炊飯器ではなく圧力釜で炊くのが一番。

 精白された白いお米よりも、雑穀や玄米のほうがはるかに栄養価が高く、健康に良いことを教えてくれたのが本書だ。

 著者の大谷ゆみこは、自らの体験からこう語っている。

 「便秘に悩まされていたのが、雑穀を食べるようになって身も心も爽快」

 実際のデータもそれを物語る。

 例えば、ヒエの栄養成分を白米と比べると、タンパク質は1・36倍、脂質は3・7倍、食物繊維は10倍、カルシウムは5・5倍、鉄分は7倍もある。

 NASA(アメリカ航空宇宙局)では、宇宙食の研究開発の中で雑穀のすぐれた栄養バランスに着目している。
 インカ伝統の主食作物キヌアを研究し、10年以上前に完全な栄養バランスをもったスーパーグレインとして宇宙食に指定、二度にわたって「21世紀の主食」と発表したという。

quinoa.jpg

 最近の研究でも雑穀の医学的な効果が明らかになっている。

 例を挙げると、①自律神経の働きを助けて免疫力や抵抗力を高める、②細胞を丈夫にし、貧血を改善し、アレルギーを抑制する、③コレステロール抑制作用がある、④動脈硬化を防ぎ、血栓をできにくくして脳卒中を予防する、⑤胃腸の粘膜を強化し、便秘を解消して大腸がんを抑制する、⑥環境ホルモンなどの有害物質を吸着して、排除する作用がある等々。

 まさに、多くのストレスをかかえる現代人にとって極めて有益な食べ物なのだ。

 一般的には、がん予防のために毎日30品目の食品を摂り、塩分やカロリーを制限するなど、「バランスのとれた食事」が強調される。

 病気で食事制限などを受けていない限り、たいてい毎日の食卓には肉や魚、卵、乳製品などの動物性たんぱく質が並ぶ。
 主に西洋の栄養学に依存したメニューだ。

 しかし大谷は主張する。

 「世界の食の歴史をさかのぼるうちにわかったことは、肉や魚や卵は、気候的条件の変化による穀物の不足を補う食品として食べられるようになったもの、そして乳製品は野菜の不足を補う食品として食べられるようになったものだという事実」

 彼女は、生命を維持するのに必要な基本の食べ物を四つ挙げる。
 全粒穀物、海藻、旬の地野菜、自然海塩である。

 食事の7割を穀物、その他3割を海藻や野菜で摂る。
 自然海塩には、なんと60種類以上の微量ミネラルが含まれているそうだ。
 日本の伝統食には、醤油、味噌、漬物があるが、このしょっぱさが日本人の体を守ってきたのだ。

 また、食べ物には体を冷やす方向に働くものと、暖める方向に働くものがあるという。
 例えば、夏野菜であるキュウリやトマトは体を冷やす。
 にも関わらず、今や年中スーパーで売られ、真冬でも食べる場合がある。

 野菜不足になるからと寒い冬に冷やす野菜を摂れば、逆に体のバランスを崩すことになるわけだ。
 だからこそ、旬の野菜を摂るのが利にかなっている。
 塩は体を暖めるから、東北など寒い地方の人は塩辛いものを好んできたわけだ。

 さらに本書で紹介する神戸山手大学・島田彰夫教授の生物学的な視点は興味深い。

 「(人間は)肉食動物には見られらない平爪、臼歯が多く、咀嚼型のあごの動き、デンプン質を分解する酵素アミラーゼの活性が高い。臭覚も弱く、足も遅いなどから、デンプンを多く含む穀物や芋を中心とした菜食ということがわかる」

 「霊長類は進化するにつれて動物性食品を食べる度合いが減って、人間に一番近いゴリラは百パーセント菜食。人間は進化の法則に逆らって動物食の割合を拡大している」

 「今でこそ、世界中で動物性食品は食べられているが、最初に動物性主体の食習慣が発達した地域は、北緯50度以北の寒冷地で植物性の食べ物が乏しい地域にかぎられていた。植物が豊かに茂った人間の生存に適した土地に住む人間が、寒冷地の特殊な食生活をまねて高脂肪、高タンパク質の動物性主体の食事をしていたら、風土に適応して生きていくことはできなくなってしまう」

 グローバル化により世界の食材がいつでも手に入り、様々な食文化を堪能できたとしても、あまりにも急激な食生活の変化に体はついていけず、さまざまな危険信号を出している。
 もっと旬の食材を活かした地産地消を目指すべきだろう。

 しかも雑穀は、こうした栄養面だけでなく、生産性や保存性も優れているから、食糧危機が叫ばれる21世紀にとって必須の食べ物となるだろう。

 今、日本の食料自給率は約40パーセント。
 毎日食べる食料の6割は輸入によって成り立っているが、この構造が持続可能であるとはとても考えられない。

 雑穀も含めて穀物の生産性は目を見張るものがある。
 一粒の米は約2000~3000粒を産む生命力を持っている。
 これはお茶碗一杯分になる量だ。

 更に雑穀は、土地への適応力が優れている。
 米と違ってやせ地や寒冷地でも栽培でき、病害虫や気候の変動にも強く、肥料もそれほど必要としない。
 水田ではなく空き地(休耕田)でも栽培できる。

 昔は、凶作のときのために雑穀は大切に保存されていた。
 大分県の農家には、ヒエやアワの俵を絶やさず天井裏に保存する代々の教えがあり、米どころの庄内でも雑穀の穂が吊るしてあった。
 昔の人の生活の知恵である。

 神奈川県小田原市で共存自給農法を実践・研究している村越重雄氏によれば、穀物中心の伝統食生活なら一人あたり150坪の耕地と山野の幸があれば十分に自給できるそうだ。

 食肉、とくに1キログラムの牛肉を生産するためには、7キログラムの飼料を必要とする。
 豚肉1キログラムの生産には4キログラムの飼料がいる。

 今後さらに人口増加が懸念される中、世界中の人々が肉食を中心とすれば間違いなく飢餓の時代が訪れる。

 人類は長い歴史の過程で、それぞれの風土に合った食文化を育んで生きてきた。
 健康と環境をともに見据えた、持続可能な食生活への転換が問われている。

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渡瀬義孝 2008年洞爺湖サミットの開催に合わせ自転車で東京~洞爺湖~札幌1500キロを走破したツーリング洞爺湖に参加。持続可能な未来へ向けエコロジーでリベラルなライフスタイルを! yoshitaka@ihope.jp

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