Politics

総裁選で河野太郎を潰した自民党 自己改革能力を喪失した組織に未来はない

2009年9月30日 10:16 | コメント(0) | トラックバック(0)

 私の愛読書『ローマ人の物語』で、塩野七生はこう語っている。

 「人間にとっては、ゼロから起ちあがる場合よりも、それまでは見事に機能していたシステムを変える必要に迫られた場合のほうが、よほどの難事業になる。

 後者の場合は、何よりもまず自己改革を迫られるからである。

 自己改革ほど、とくに自らの能力に自信をもつのに慣れてきた人々の自己改革ほど、むずかしいことはない。

 だが、これを怠ると、新時代に適応した新しいシステムの樹立は不可能になる。

 グラックス兄弟以降のローマのエリートたちの苦悩は、まさにこの点より発していた」

 

Laurent_de_la_La_Hyre_001.jpg 長らく左翼運動に関わっていた私自身、この言葉の意味を嫌と言うほど味わった。

 所謂「団塊の世代」と呼ばれる人たちには、特にこの「成功体験」へのこだわりが強い。

 40年近く前の左翼運動の一時的高揚。
 その際のわずかな成功体験にこだわり続け、時代の変化にまったく対応できない。

 にも関わらず既得権益にはしがみつこうとし、歳を重ねる毎に堕落していく。
 そんな姿を目の当たりにした。

 冒頭の塩野の言葉は、ルビコン河を渡り共和制ローマの改革に乗り出したカエサルを高く評価する脈絡で語られている。

 カエサルは既得権益集団である元老院を事実上解体し、帝政という新しい政治システムを構築しようとした。
 彼は独裁者になりたかったわけではなく、機能不全に陥った共和制を改革したかったのだ。

 『ローマ人の物語』を愛読したという小泉純一郎は恐らく、このカエサルの姿に自らを重ねていたのだろう。
 しかし小泉はカエサルの足下にも及ばない、息子への世襲を乞うたただの「親バカ」だった。
  http://www.ihope.jp/2009/09/08092459.html

 そんな小泉改革の底の浅さを見透かした国民は、政権交代を選択。
 既得権益にあぐらをかいてきた自民党、そしてそれを背後から操ってきた官僚組織にNOを突きつけた。

 にも関わらず、再生を図るとして行われた自民党総裁選は、旧態依然たる派閥政治の力学で終始した。

 私は党の改革を本気で訴えた河野太郎氏を潰したことで、もはや自民党には未来はなくなったと思う。

 権力欲だけで政治を動かしてきた人たちが、権力を失ったらどうなるのか?
 瞬く間にエネルギーを失速させ、本当はいかに無能であったのかが明らかになる。
 権力を握っている間は大言壮語をしていても、「裸の王様」でしかなかったのだ。
 そんな冷厳な事実もまた、私は目の当たりにしてきた。

 河野太郎氏は、自民党の若手のなかでも秀でた政治的見識を持っていた。
 例えば首相の靖国神社公式参拝問題については、中国側の抗議には理があると、歴史的経緯を踏まえて正しく論じていた。
  http://www.ihope.jp/2009/08/17103342.html

 また日本のエネルギー政策についても、国策として再処理や原発を推進することについて正しい批判を述べている。

 9月29日の毎日新聞佐賀版での見解はかなり踏み込んでいる。
  http://mainichi.jp/area/saga/news/20090929ddlk41040456000c.html

 「ウラン燃料の1割節約に莫大(ばくだい)な金を投資することは、効率が悪い。
 廃棄物は再処理工場も解体して処理しなければならない。
 余剰プルトニウムは再処理工場を動かすから出てくる」

 「原発から出る廃棄物を最終処分できないのに原発を増やすという政策はおかしい。
 今ある原発は耐用年数を迎えたときに一つずつ廃炉にし、それをカバーできるように再生可能エネルギーを増やすべきだ。
 高速増殖炉ができないのに再処理をやる必要はなく、それらにかける何十兆円という金を、再生可能エネルギーの研究開発に充てたらいい。
 輸出できないプルトニウム利用技術より、再生可能エネルギーの方が、日本経済にとってもはるかにメリットが大きい」

 まさに既得権益にとらわれることなく、持続可能なエネルギー政策について極めて合理的な見解を述べているわけだ。
 
 こんな優秀な若手を潰す自民党には、もはや未来はない。
 河野氏のようなリベラルな若手政治家は、改革の展望がなくなった自民党から去り、民主党に参加したほうがよほど日本の未来のために力を発揮できると思う。

 

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