Review
民衆の抵抗権、革命権を銘記した『人権宣言集』から学ぶべきこと
世界ではじめて作られた成分憲法は、1776年から1789年にかけて制定されたアメリカ諸州の憲法だ。
イギリスの大陸支配に抗して1776年7月4日に発せられたアメリカ『独立宣言』では、次のように謳った。
「長く存続した政府は、軽微かつ一時的な原因によっては、変革さるべきでないことは、実に慎重な思慮の命ずるところである。したがって、過去の経験はすべて、人類が害悪を堪えうるかぎり、彼らの年来従ってきた形式を廃止しようとせず、むしろ堪えようとする傾向を示している。
しかし、連続せる暴虐と簒奪の事実が、明らかに一貫した目的のもとに行われ、人民を絶対的暴政のもとに圧倒せんとする企図を明示するにいたるとき、そのような政府を廃棄し、みずからの将来の保安のために新たなる保障の組織を創設することは、彼らの権利であり、また義務である」
この『独立宣言』に前後して、アメリカ諸州では、ヴァジニア憲法、ペンシルヴェニヤ憲法、メリランド憲法などが次々と制定された。
『人権宣言集』(岩波文庫)では、こう解説されている。
「そこでは、憲法プロパアともいうべき統治機構(Plan or Frame of Government)に関する諸規定とは別に、それに先立つものとして、権利宣言または権利章典(Declaration or Bill of Rights)と題する一群の規定が設けられる例であった」
例えば、アメリカの独立宣言に先駆けて発布され、その後の人権宣言の先駆をなすものとして高く評価されているヴァジニア憲法中の権利章典では、次のように記されている。
「政府というものは、人民、国家、もしくは社会の利益、保護および安全のために樹立されている。あるいは、そう樹立されるべきものである。政府の形体は各様であるが、最大限の幸福と安寧とをもたらし得、また失政の危機に対する保障が最も効果的なものが、その最善のものである。
いかなる政府でも、それがこれらの目的に反するか、あるいは不じゅうぶんであることが認められた場合には、社会の多数のものは、その政府を改良し、変改し、あるいは廃止する権利を有する。この権利は疑う余地のない、人に譲ることのできない、また棄てることのできないものである。
ただし、この〔権利の行使〕方法は公共の福祉に最もよく貢献し得ると判断されるものでなければならない」
ロック以降の社会契約説の伝統を引継ぐ自由主義的な社会、国家観においては、まず何よりも自然状態における諸個人の権利を「自然権」として明確化させ、社会的統治機構や政府、国家権力の成立根拠は、こうした諸個人の自然権が契約によって一時的に譲渡されたものにすぎないと考える。
ゆえに、時の権力が諸個人の自然権を脅かそうとしたならば、これへの抵抗、革命の権利は最も重要な不可侵の権利として当然認められている。
絶対王政との闘いを通じて市民社会を確立していった欧米の憲法体系、つまり今日のほとんどの民主主義的法治国家において、統治機構確立の前提として認められている民衆の抵抗権、革命権。
国民が必要に応じてその権利をきちんと行使せずしては、社会は変わりようがない。
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