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映画『ドッグヴィル』(Dogville) が描いた人間の脆さと弱さ やはり権力のパターナリズムは必要なのか?

2009年7月28日 09:47 | コメント(0) | トラックバック(0)

 かなりショッキングな映画だ。
 
 内容以前にその撮影手法が斬新だった。
 舞台で繰り広げられる演劇を映画化したに等しい作品だ。

 しかもメインの舞台セットは、床にひかれた白い枠線。
 それがロッキー山脈の廃れた鉱山町ドッグヴィルの街並みと家々、そして各部屋を象徴する。

 監督・脚本はラース・フォン・トリアー、主演はニコール・キッドマン。
 飛行機嫌いのために一度もアメリカを訪れたことのないデンマーク人の監督は、アメリカ三部作の第1弾としてこの作品を撮った。

dogville1.jpg

 詳しいストーリ―説明はおくとして、この映画のラストシーンは圧巻である。
 ニコール・キッドマン演じるヒロインとその父親が交わす会話は、人間社会の現実への鋭い洞察が込められている。

 映画の題名「ドッグヴィル」とは「犬の町」を意味する。
 犬は極めて社会性が強い動物であり、集団のなかに必ず序列化された秩序を求める。
 序列が曖昧になれば秩序は乱れ、言うことを聞かなくなる。

 つまり犬を調教するには、序列化された権威と躾が必要なのだ。
 強力なパターナリズムを抜きにして犬を調教することはできない。

 映画の題名はまさに、それは犬にだけ当てはまる話ではないことを象徴している。
 実は人間も「犬」と同じではないのか?
 人間の社会もまた、力と権威を抜きにしては成立しないのではないか?
dogville2.jpg ラストシーンでギャングのボスが語る言葉は、聖書の言葉よりもはるかに奥が深い。
 だからこそ、観る者に深い衝撃を与えるのだ。

 パターナリズムの功罪を巡って繰り広げられている論争を凝縮する作品なのだが、答えは見えない。

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