『Actio』10月号特集は、名古屋で開催されるCOP10へ向けて盛りだくさん。
いまひとつとっつきにくい「生物多様性」を分かり易く解説すると共に、10月に名古屋で開催される様々なイベント情報も満載。
ぜひともご覧ください!
CONTENTS
<気になるShop>16
麻心(まごころ)
<特集 次世代へ引き継ぐ生物多様性 未来を決めるCOP10@名古屋>
◎道家哲平
COP10は未来を決める重要な会議
◎広田奈津子
生物多様性「じぶん条約」を宣言しよう
◎NGO/NPO的 COP10の歩き方を紹介
◎本川達雄
小学生にも分かる生物学講座
◎野間直彦
絶滅寸前の多様な生物が暮らす山口県・田ノ浦
◎服部 徹
健全な企業活動にとって生物多様性は不可欠の課題
<連載▼坂田昌子 ちいさないのちの大きな輪>10
雨が降ってくれれば万事OK-マサイマラ訪問記
<International>
気候変動が世界的異常気象を惹き起こしている
<連載▼冨田貴史 脱原発を目指す旅>16
台湾原発で相次ぐ重大事故
<連載▼中園順子 まるじゅんのヨガが教えてくれたこと>⑤
いつもカラダは人知れず、最善を尽くしてくれている。
<YAM 東北インディーズシーン・ガイド>#14
MAGROCKありがとう そして10月の青森、東北だより
<連載▼KEN子 沖縄エコ番長KEN子が吠える>16
怒!泡瀬干潟の工事再開! 辺野古の壁!高江の裁判!
<連載▼橋本努の音楽エッセイ>16
自分の分身のような音楽に出会った
<Sweets Workshop▼草野育史朗>10
クリームマロンサンド
<Cinema>
『アイコンタクト』
<Information>
<定期購読/バックナンバーの購入方法>
<取り扱い書店のご案内>
編集・デザイン Actio 編集部
今号のCoverDesign
【福士悦子】さん
イラストレーター/グラフィックデザイナー。多摩美術大学デザイン科卒。パレットクラブ・スクール卒。アパレル・雑貨メーカーにて、グラフィックデザイナーとして勤務後フリー。雑誌・書籍・web等のイラスト、雑貨デザイン・手作りぬいぐるみの 『little shop』で活動中。 http://little-shop.net/
淡路島にある野島断層保存館は、阪神淡路大震災で現れた野島断層をそのまま保存し、あの震災のすさまじさを伝える施設。
保存館の室内には、地震で現れた断層が風化しないように保存されている。
あの地震がどれだけの地殻変動をもたらしたのか、はっきりと分る。
地震大国日本では、東海、東南海、そして南海の三つの巨大プレート型地震は、過去の周期から言っていつ起きてもおかしくない。
もしこれらのプレート型地震が起きれば、人口が都市に集中している日本での被害は想像を絶するすさまじいものになるだろう。
プレート型が生み出す周期の長い揺れに高層ビルが耐えられるのかも、実験でしか分っていない。
実際に新潟県中越地震の際、震度3の揺れしかなかった東京では、超高層ビルで不可解な事が起きた。
54階建てのあるビルでは約70基あるエレベーターの内6基が停止。
あるエレベータでは8本ある主ワイヤーの内1本が切れていた。
ワイヤーは直径1センチもある鋼鉄製である。
まさにこれから首都圏を襲うだろう巨大地震は、高度に文明化された都市がそれに本当に耐えられるのかの実験となる。
たとえ揺れに耐えられたとしても、電気・ガス・水道などのライフラインが途絶した場合、エレベーターは動かなくなり、上層階に住む人は地上に降りることすらままならなくなる。
われわれは余りにも脆弱な基盤の上に生活しているのだ。
政府の公式災害対策でも、地震発生後3日間は国民がそれぞれ自力で備蓄食料や水で耐え忍ぶことが前提となっている。
まずは国民一人一人が最低限の自覚をもち、震災対策をしておくことが大前提だろう。
日本の原子力政策の方向を決める「原子力政策大綱」。
2005年10月に策定されたが、これの見直しの必要性に関して、内閣府が意見(パブリックコメント)を募集中。
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/senmon/seisaku/bosyu/100727/bosyu100727.htm
プレスリリースにはこう記されている。
1.概要
原子力委員会は、「原子力政策大綱の見直しの必要性に関する検討について」 を決定し、見直しの必要性の有無についての検討を開始することとしました。
つきましては、現行原子力政策大綱(以下、「現大綱」という)に示す政策の 進捗状況や原子力を取り巻く環境の変化、さらにこれらを踏まえて大綱のあり方 や現大綱に示されている政策に対するご意見を広く国民の皆様から伺いたく、以 下の要領で意見の募集をいたします。率直なご意見をお寄せください。2.意見募集の対象
●現大綱の見直しの必要性の有無
●見直しの必要な(または必要でない)理由
●見直しが必要と回答された場合、見直しのあり方や個別施策への意見
現在の大綱が策定されるプロセスでは、核燃料サイクルの展望やコストなどについても議論され、様々な批判意見も出たが、結局は既定路線は修正されなかった。
しかし、六ヶ所村再処理工場は度重なるトラブルで本格稼働は大幅に遅れ、コストは日毎に膨らんでいる。
再開した高速増殖炉「もんじゅ」も毎日のようにトラブル。
すべて順調に開発が進んでも、商業炉が稼働するのは2050年頃だと言われている増殖炉の開発は、ほとんど何の展望もないと言わざるを得ない。
その一方で、「大綱」が策定されて以降のこの5~6年の間に、世界では太陽光や風力、地熱、バイオマスなどの再生可能エネルギーが爆発的に普及し、エネルギー環境は劇的に変化している。
こうした状況を踏まえ、既存の「大綱」の見直しは不可避であると言えるだろう。
ところで、「大綱」にはこう記されている。
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/tyoki/tyoki.htm
「原子力と国民・地域社会の共生」
原子力の研究、開発及び利用を進めるためには、国民と地域社会の理解と信頼が必要である。そのため、国民と地域社会に対して、原子力の研究、開発及び利用がもたらす利害得失に関する検討過程、それを規制・誘導するための原子力政策の立案・決定過程、及び関係者の諸活動の透明性を確保することが必要である。
しかしながら、こうした情報公開を出発点とする政策決定過程への国民参画を進める仕組みはなお発展段階にある。
また、原子力の研究、開発及び利用に関する広聴・広報事業には、効果・効率性等の問題がある等の指摘もある。
国や事業者には、国民参加のあり方の一層の工夫や、広聴・広報活動をより一層効果のあるものにする真摯な取組が求められている。
今回の意見募集は、こうした「大綱」の理念に沿って行われているとも言えるわけで、これに対して国民がきちんと意見を提出することは極めて重要。
でないと、「国はきちんと国民の声を聞く努力をしましたよ」「でも見直すべきだという意見は出ませんでした」と言い訳されてしまう。
多くの国民がきちんと意見を寄せ、国の原子力政策を動かす力に。
締切は9月21日(火)。
なお、9月18日には「見直しの必要性についてご意見を聴く会 i n 東京」も開催される。
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/senmon/seisaku/bosyu/100918/bosyu100918.htm
ご意見聴取予定者として、飯田哲也氏(環境エネルギー政策研究所 所長)、内山洋司氏(筑波大学大学院システム情報工学研究科教授)、崎田裕子氏(ジャーナリスト・環境カウンセラー・NPO法人持続可能な社会をつくる元気ネット理事長)が予定されており、一般参加者からの意見聴取もある。
こちらの締切は9月8日。
関心のある方はぜひ!
「原子力発電はクリーンな電気のつくり方」
誰が考えついたかしらないが、あまりにも酷い広告コピーだ。
「これは不当な広告表示だ」とJAROへ訴えていた男性の主張は、当然のことながら認められた。
2008年11月25日付で下されたJARO裁定はこう指摘。
今回の雑誌広告においては、原子力発電あるいは放射性降下物等の安全性について一切の説明なしに、発電の際にCO2 を出さないことだけを捉えて「クリーン」と表現しているため、疑念を持つ一般消費者も少なくないと考えられる。
今後は原子力発電の地球環境に及ぼす影響や安全性について充分な説明なしに、発電の際にCO2 を出さないことだけを限定的に捉えて「クリーン」と表現すべきでないと考える。
電事連側は、「発電の際にCO2を出さないという特長をクリーンと表現した」と言い訳したらしいが、さすがにこれ以降、「原発は発電時にCO2を出しません」と限定的な言い方に変わってきた。
ところが、こうしたJARO裁定を完全に無視して、「原子力ポスターコンクール」なるものが行われている。
http://www.jaero.or.jp/poster10/pc/index.php
「きれいなエネルギー原子力」、「きれいな空気ありがとう」と、放射能汚染リスクや放射性廃棄物問題など、原発のデメリットをすべて無視した言葉が並ぶポスターを書いたのは子どもたち。
勿論、書いた子どもたちには何の罪もない。
ご丁寧にポスターを書くために「ヒント」を記したページがある。
http://www.jaero.or.jp/poster10/pc/hint.php
このヒントのなかに、「地球に優しい原子力発電」と堂々と記してあるのだから、子どもたちは素直に、その通りに書いているわけだ。
ところでこの事業は、文部科学省及び経済産業省資源エネルギー庁より委託を受け、(財)日本原子力文化振興財団が運営。
つまり国民の税金が使われているわけだ。
早速(財)日本原子力文化振興財団にいくら税金が使われているか電話して聞いてみた。
担当者は「資源エネルギー庁に問い合わせしてみます」と。
「公開していないわけですか?」と突っ込むと、「いえ、資源エネルギー庁のホームページに調達情報として公開されてます」と回答。
そこで調べてみるが、以下の調達契約のページを探し当てた。
http://www.enecho.meti.go.jp/info/tender/keiyaku.htm
このページの「委託費 平成21年度」をクリックすると以下のPDFが出てきた。
このファイルは見易くするために私が加工しているので、(財)日本原子力文化振興財団が契約した項目はハイライト表示されている。
これによれば昨年の「原子力ポスターコンクール」については、1727万2500円で請負っている。
興味深いのは、この財団、他にも資源エネルギー庁から業務委託されていて、平成21年度の総額は、1億3940万7688円。
核燃料サイクルの宣伝事業などを請負ってこれだけの税金を得ている。
なんのことはない、まさに自分たちに税金が回ってくるように、必死に原子力の宣伝をしているわけである。
昨年度の調達情報を見れば、同じような財団や独立行政法人が山のように存在することが分かる。
まさに、原発利権そのものである。
こうした財団や独立行政法人に、資源エネルギー庁や経済産業省の役人が多数天下っているのは想像に難くない。
自分たちが甘い汁を吸い続けるために、ほとんど子どもへの洗脳に等しいポスターコンクールなどを続けるとしたら、こうした財団や独立行政法人はさっさと仕分けされるべきだろう。
「エネルギーシフトを考えるデータバンクプロジェクト」は、7月22日のイベント「できるぞ!エネルギーシフト!」を引き継いで、9月3日にサイエンスカフェを開催。
ビール片手にエネルギーシフトの可能性を大いに語ろう!
以下はブログ(http://staff.energy-shift.org/2010/08/126)より貼り付け。
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石油・ガス・原子力に替わる新しいエネルギーとして注目を集める「水素」。
地球環境に関心の高いハリウッドスターには いちはやく自宅や別荘に採用している人も!
世界のエネルギー事情が刻々変化している今 新技術の情報をきちんと知ろう!判断しよう!話し合おう♪
ということで「R水素ネットワーク」さんに水素エネルギーのこと、教えてもらいます。
講師は曽我健太さん。
ご参加お待ちしています!
R水素ネットワーク
http://rh2.org/
(曽我建太さんプロフィール)
19:30~ R水素ネットワークの方からレクチャー
20:30~ 参加者全員によるフリー討論
21:30 一応終了。話が尽きなければその後も・・・
■場所 三軒茶屋 カフェOHANA
http://www.cafe-ohana.com/access.html
【住所】東京都世田谷区三軒茶屋1-32-6 豊栄ビル1F
【TEL/FAX】(03) 5433-8787
【最寄り駅】 東急 田園都市線/世田谷線 三軒茶屋駅 徒歩2分位
【駅 出口】 東急 田園都市線 三軒茶屋駅 南口 B
【アクセス】 三軒茶屋から、246通りを駒沢方向に進み、栄通りの入り口を過ぎ、レンタカーやさんの5~6軒先。246通り沿い、1Fです。
■参加費 500円
※別途カフェメニューよりワンオーダーお願いします。
■予約 カフェOHANA
http://milk.candybox.to/from-earth/postmail/postmail.php
℡ 03-5433-8787
■問い合わせ エネルギーシフト
☆よろしければ以下の資料を事前にご覧いただいた上でご参加ください☆
「R水素社会実現のために必要なたった一つのこと」
http://greenz.jp/2010/07/28/r_hydrogen_society/
2分で分かるR水素
8分で分かるR水素
30年近く中国電力の上関原発計画に反対を続けている島がある。
瀬戸内の入口、山口県上関町の祝島だ。
この島を訪れても、主に釣り人向けの民宿が数軒あるだけ。
コンビニは勿論、自動販売機すらない。
でもこの島に降り立った瞬間、そこに流れる時間がとてもゆっくりしていることに気付く。
私が生まれた昭和30年代には、まだ日本のいたるところに流れていた時間だ。
そう、この島の最大の魅力は、このゆったりとした時間の流れにある。
訪れた人はそれを肌で感じることができるが、この映画はそれを見事に映し出した。
映画は、祝島に流れるゆったりとした、奥深い時間の流れを見事に表現することで、都会に生きる私たちが日々追いかけられている時間がどれほど窮屈で殺伐としたものか、あらためて気付かせてくれる。
波にただよう小さな船の上に座り、鯛の1本釣りをする正本英一さんは74歳。
釣れた魚に必ず「よく来なさった。ありがとう」と語りかける。
「50年以上漁をしても未だに微妙な潮の流れの変化は分からない。原発ができたら間違いなく海は死んでしまう」
その言葉は、どんな科学的データよりも説得力がある。
祖父が島の斜面に造った棚田を守り続ける平萬次さんは77歳。
子どもの時の手伝いを含めれば、その棚田で70年間米を作り続けている。
祖父の亀次郎さんは、高さ30メートルを超える城壁のような石を積み上げて棚田を造った。
斜面の上のほうにある岩を下に落としながら積み上げたとはいえ、すべて人力。
子どもたち、孫たちに美味しいお米を食べさせたいとの一心で、信じられないような日々の作業を何十年も積み重ねた成果だ。
その棚田で今も米を作り続ける萬次さんだが、祖父の亀次郎さんはこう語っていたそうだ。
「曾孫の時代になれば誰も引き継ぐ者はいなくなり、またこの棚田は原野に戻っていく。人間の営みとはそういうものだ」
子や孫のために血のにじむような苦労をして造った棚田も、百年もしないうちになくなる。
それでも、子や孫たちが美味しいお米を食べられればそれで十分だと。
読み書きができなかった亀次郎さんが作った歌を、棚田の巨大な石に刻む萬次さん。
今日もまた
つもりし雪を かきわけて
子孫のために ほるぞうれしき
正直、私はこの亀次郎さんの言葉に一番衝撃を受けた。
悠久の時の流れのなかで、自らの人間としての営みのちっぽけさをきちんと自覚し、決して奢らず、かといって諦めもせず、与えられた生を全うする。
そして子や孫に益はあっても、決して彼らの負担にはならないように、精一杯の努力をする。
これと対極にあるのが大量生産、大量消費、大量廃棄を前提とした原発建設だろう。
現在の欲望を満たすために、子どもたち、孫たちどころか、この先何万年も続く核のゴミを出す。
原発を一度造れば、ただの原野に戻ることはあり得ない。
にも関わらず中国電力は、祝島の人々の営みを、「一次産業だけで食べていくことが難しいのはみなさんもお分かりでしょう」と侮蔑し、わずか数十年(原発の寿命)の電力供給のために、何百年も続いてきた最も持続可能な人々の生活を踏みにじろうとしているのだ。
映画冒頭に流れるテロップは象徴的だ。
故高木仁三郎氏の著書『いま自然をどうみるか』よりこんな言葉が引用される。
人間は火を燃やす竈を精密に強大にし、また、術に長けはしたけれど、なお壮大な生物の文化には合流しえずにいる新参者なのかもしれない。
核の竈などという、自然界の文化とはなじまない、ある意味ではきわめて野蛮な文明を発達させたことなども、その現われといえるかもしれない。
人間は確かに頭脳も大きく理智にも長じ、言語機能に優れた生物ではあるけれども、いや、そうであるからこそ、その意識的な行為によって、今後は生物全体の創出する<文化>の世界へと合流していくべきなのだろう。
全国で上映が始まっている。
ぜひ多くの人に観てもらいたい映画だ。
『祝の島』公式ホームページ
http://www.hourinoshima.com/
2008年5月、富山県富山市(旧大沢野町)の土(ど)集落で有畜循環有機農業を営む農場「土遊野」を訪れた。
http://doyuuno.net/
食の安全・安心が求められるなか有機農業はかなり普遍的となったが、この農場のすごいところはほぼ自給自足できるような循環型農業に取り組んでいること。
農場を営んでいるのは橋本秀延さん・順子さんご夫妻。
土集落は限界集落で、ここに定住しているのは橋本さん一家だけ。
しかし「限界」とのネガティブな言葉とは裏腹に、新緑の自然がまぶしいほどに美しいまるで桃源郷のような場所だ。
午前9時半、到着と同時に早速やぎの乳搾り体験。
やぎの乳はパンパンに張っており、急いで搾ってやらなければ可愛そうだ。
あっという間に2リッタービン2本が一杯となる。
ちなみにこのやぎは農場の空き地に放し飼いとなっている。
のんびりと草を食べているが、ほぼそれだけで毎日これだけの乳が出るのだからなんと効率的。
しかもその晩の食卓で味わった手作りカッテージチーズの美味しかったこと。
汚染されていない土地に生える草を食べているからほとんど臭みもなく、かつ濃厚。
一家に一頭やぎを飼えば乳製品に困ることはないと実感できた。
土遊野では平飼いで800羽養鶏している。
その卵の採取作業をお手伝いしたが、鶏舎はほとんど臭いがしない。
鶏たちに与えているのは、有機栽培の自家製デントコーンや野菜のくず、もみ殻など。
それをほのかに醗酵させて生温かい状態で鶏に与える。
そのため鶏の糞もほとんど臭いがしない健康な糞。
その糞は田畑にすきこんで肥料となる。
この採れたて卵を翌日朝、温かいご飯にかけて食べたが、本当に濃厚でかつ優しい味がした。
ちなみに卵の黄身の色は、薄いレモン色に近かった。
順子さんから、市販されている卵の色は、実は任意で変えることができると聞いて驚いた。
飼料業者は色見本をもっており「この色にしたい」と指定すると、卵の色を変える成分が飼料に配合されるそうだ。
濃い黄色だからといって健康的な卵とは限らないわけだ。
それとは対照的に土遊野は、化学肥料や飼料などをすべて外国に頼る既存の農業からの脱却を目指している。
今後原油価格が高騰し、大豆やトウモロコシなどが品不足となることは避けられない。
食料自給率4割を切っている日本農業をどうやって再生させるのか、その方途を示している試みだ。
4ヘクタールの棚田では、アイガモ農法により米作りもしている。
蕎麦や小麦、ホウレンソウなど40種以上の野菜も育てており、すべて化学肥料や農薬を使っていない。
日本が食料危機に陥っても、この限界集落だけは大丈夫だろう。
夜は晩酌しながらご主人の秀延さんと様々なお話ができて本当に楽しかった。
経営的にも確固とした基盤を確立しつつ、有畜循環有機農業を展開する橋本さんたちの試みを全国に広げていけば、持続可能で安全・安心な食を提供する日本農業の展望が大きく開けるのではないか。
美しい自然のなかで地に足をつけた自給自足の生活にたまらない魅力を感じた。
土遊野には海外からも多くの人が研修に訪れている。
有機農業に興味のある人はぜひ一度訪れて欲しい。
皮肉なことに、戦争ほど人間の生を鮮明に浮かび上がらせるものはない。
この逆説的な世界を見事に描いたのが、このアニメである。
舞台は近未来。
人類は自らの存亡に関わる世界戦争を回避するために何を選択したのか?
人々は平和の尊さをすぐに忘れ、戦争の道に入り込んでしまう。
これを避けるには、いつも戦争を身近に感じる以外ない。
そこで国連から委託された擬似戦争を請け負う民間会社が、終わることのない擬似戦争を繰り広げることになる。
擬似戦争とは言え、実際に生死を賭けた戦いが大空で繰り広げられる。
それを担うのはキルドレと呼ばれる特殊な戦士。
遺伝子操作の末に生まれた「歳をとらない子ども」たちだ。
人々は毎日テレビで映し出される彼らの戦闘を目の当たりに、キルドレ達に同情しながらも、平和の大切さを噛み締める。
このシーン、実はリアルそのものだ。
私たち自身、イラクやアフガニスタンで繰り広げられる悲惨な戦闘のニュースを見ながら、「あんな国に生まれなくてよかった」「やっぱり平和憲法が大事だよね」と、同じように感じていないだろうか?
あるいはかつての戦争体験を聞いて、「二度と戦争を繰り返してはいけない」と感じるのは、心理的には同じ作用なのではないか?
だが、そうやって自己確認するしかない「平和」って何だ?
その「平和」のなかで、私たちは本当に生きていると言えるのか?
多分、監督の押井守が語った「若い人に、生きることの意味を伝えたい」との言葉の本当に意味はここにあるだろう。
キルドレたちに許された選択肢は、戦い続けること、そしていつかは撃墜され死ぬこと以外にはない。
そして死んだとしても・・・
でも彼らは必死に生きようとする。
ラストシーンに流れるテロップは実に意味が深い。
「いつも通る道だからって、景色は同じじゃない。それだけでは、いけないのか?」
私はこの映画を観ながら、ニーチェの「永劫回帰」をモチーフにしていると感じていたが、最後のシーンでこのテロップを読んで「やっぱり」と確信した。
キルドレたちの姿、そして彼らが飛び立っていく飛行場。
そこに特攻隊の姿を重ね合わせるのは私だけではあるまい。
特攻隊に命を捧げた若者たち。
その犠牲の上に成立した戦後日本。
溢れるモノと「平和」で単調な日々に埋没し、生きる意味を見出せない若者がいるとすれば、「いつも通る道だからって、景色は同じじゃない。それだけでは、いけないのか?」との問いかけは、決して「小さな満足でいいじゃないか」との慰めではない。
「生の意味」は誰からか与えられるものではなく、自らの意志で創造するものだという、ニーチェの「超人」こそがこの映画のメッセージなのである。
それが文字通りの意味で本当に可能かどうか、私には判らないが・・・

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